Q155
噛み合わせの調整について教えて下さい。 Rさん

12月の中旬に、上顎の左右の第1小臼歯に、プレシャスというゴールド系の土台にセラミックを吹き付けたFCKを装着しました。こういうMBのようなものは、初めて装着しますので、色々と分からないことがありとまどっております。 1月の中旬に、別の歯の治療で歯科を受診するのですが、その時に担当の歯科医師から、噛み合わせがどうかチェックしたいといわれているのですが、ちょっとした疑問があって、どうお答えしたものか迷っています。実は、装着した日にも、高さのことを聞かれたのですが、よく分かりませんとしかお答えできませんでした。 実は、今回治療した歯の他に、(他の歯の治療が緊急を要したので)下顎の右第1大臼歯がインレーを入れないままになっていて、その上その対合歯である上顎の右第1大臼歯が少し欠けています。(第2小臼歯は、矯正のために抜歯してあ琉ので、治療した歯の隣になります。) この様な状況下で、生活に支障を来すほどではないのですが、左側の第1小臼歯に装着したクラウンがちょっと右に比べ高いような気がします。慣れるかもしれないと思って経過を見ていたのですが、今のところはそれ程感じ方に変化はないようです。
さて、質問ですが、
1)担当医は高さの調節が可能であると言われましたが、お聞きするのを忘れました。この場合、どのような方法でするのでしょうか?義歯を削るのでしょうか?それとも対合歯の方でしょうか?
2)対合歯を削る方法なのであれば、健康な歯なので出来れば削りたくありません。全体の噛み合わせに影響がでる様な危険のある高さの違いであるなら、勿論仕方がないのですが、高さの違いの危険域を判定する目安を教えていただけないでしょうか?それとも、咬合に問題がでるほどであれば担当医が肉眼等で判定できるのでしょうか?
3)上記の事情を考慮して(インレーの分だけ高くなると思うので)、隣の歯の治療が終わってから高さを判断した方がよいのでしょうか?
4)次に治療するのは、エナメル質が取れた前歯でこれは一回で治療が終了するそうですが、その後かけた第1大臼歯、その下の第1大臼歯のインレーという順で治療する予定ですが、その部分の治療を終えるのに数ヶ月くらいはかかると思いますが、その間高さの調節をしなくても問題はないでしょうか?問題がなければ、取り敢えず、コメントは留保したいのです。
大晦日のお忙しい時期に、申し訳ありませんが、ご相談にのっていただけないでしょうか?宜しくお願いいたします。
(99/01/01)

A156
Re: 噛み合わせの調整について教えて下さい。 プッコチ先生

> 1)担当医は高さの調節が可能であると言われましたが、お聞きするのを忘れました。この場合、どのような方法でするのでしょうか?義歯を削るのでしょうか?それとも対合歯の方でしょうか?
●個々の症例に関しては断定はできませんので基本的な原則に当てはめた  場合についてお答えします。
・原則は対合歯は削らない。もし、長期間歯の根の治療などで対合歯が挺出
(歯が浮き上がってくる)してくるとか何らかのリスクが生じる可能性がある場合は  積極的に仮歯などの方法を講じる。
・然し、その歯が虫歯のまま放置されていたなどの理由で治療時点ですでに対合歯が浮き上がり  (挺出)顎の咀嚼という運動を阻害するおそれがあるとか色々な理由で対合歯が健全でも  削らざるを得ない或いは削ったほうが良い場合もある。  
(注)そのような場合でもすぐ削る判断をするのではなく中期間だけでも仮歯を入れて経過観察し、特に異常がでなければ対合歯を削らずに済む場合もあるという積極的保存的考えも先生によってはあります。

> 2)全体の噛み合わせに影響がでる様な危険のある高さの違いであるなら、    勿論仕方がないのですが
●それがすぐ不可逆的結果、つまり全身的な事も含めて何か異常が出てしまった場合に歯を削った  のでは遅いのか?影響はすぐ出る可能性があるのか?などよく主治医と話し合ってみてください。

>高さの違いの危険域を判定する目安を教えていただけないでしょうか?
幾つかの過去の報告によれば70ミクロンの異常でなんらかの身体的異常を訴える患者が 有為に増えるという推察や ネズミに100ミクロン高くなるように歯の裏側に人工物を張りつけたら全てのネズミが 歯軋りを始めたとか色々な話を聞きます。 ただ、かような研究とは別に臨床的常識に照らし合わせて言えば 歯の根の周りには歯根膜という噛む力に対するクッションのような役割をしている 組織があります。 歯にもよりますし、個人差もありますが、概ね20〜50ミクロン以上の高さの異常は 歯根膜に継続的な負担を与え、あるいは歯を支えている歯槽骨という組織にもダメージを 及ぼすと言う意見が多々ありますので、厳しく下の数値をとれば20ミクロン以下の 調整が要求されるという目標がひとつのボーダーラインではなかろうかと思います。

>それとも、咬合に問題がでるほどであれば担当医が肉眼等で判定できるのでしょうか?
●肉眼的に確認できる場合と出来ない場合があります。 例えば、奥歯の高さの異常は犬歯などの対合歯との1点の小さな接触の有無の変化、位置の変化 などで肉眼的に確認出きる場合もあります。 ただし、調整はできません。

> 3)上記の事情を考慮して(インレーの分だけ高くなると思うので)、隣の歯の治療が終わってから高さを判断した方がよいのでしょうか?
●その前に、すでに高さの異常があるとすれば、後に作るものはやはり高さのあわないものに  なる場合がありますね。

> 4)次に治療するのは、エナメル質が取れた前歯でこれは一回で治療が終了するそうですが、その後かけた第1大臼歯、その下の第1大臼歯のインレーという順で治療する予定ですが、その部分の治療を終えるのに数ヶ月くらいはかかると思いますが、その間高さの調節をしなくても問題はないでしょうか?問題がなければ、取り敢えず、コメントは留保したいのです。
●何故インレーはあとまわしなのかなあ?  先にやる場合のメリット・ディメリット  後にする場合のメリット・ディメリットを聞いてみてください。  明確な回答がなければ明確な理由がなく、そういう診療計画をその歯医者さんが  やっていたかもしれません。
★重要★ 冠を被せた後で調整される予定なのですから、その先生は装着する前に その冠の厚みとかは当然、事前に計測されているのでしょうね? 絶対確認されることを強くすすめます。 分らないという答えは通用しません。 十分あるという答えがきたばあいでも、それは何ミリでしょうか?ときいてください。 何ミリかわからないのに十分あるといえる根拠にはならないからです。 もっとも、その先生は厚み○○以下の冠は再製を必ずするというポリシーがあるのなら 上記のような不安には及びません。 ↑最後の部分も含めてあくまでも原則的なレスですので、全てを意味するものではない点  ご了承下さい。

(99/01/01)

Q157
Re: 噛み合わせの調整について教えて下さい。 Rさん

> > 1)担当医は高さの調節が可能であると言われましたが、お聞きするのを忘れました。この場合、どのような方法でするのでしょうか?義歯を削るのでしょうか?それとも対合歯の方でしょうか?
> ・原則は対合歯は削らない。
少し、安心しました。そうであると良いと思います。

> ・然し、その歯が虫歯のまま放置されていたなどの理由で治療時点ですでに対合歯が浮き上がり
> (挺出)顎の咀嚼という運動を阻害するおそれがあるとか色々な理由で対合歯が健全でも
>削らざるを得ない或いは削ったほうが良い場合もある。
>(注)そのような場合でもすぐ削る判断をするのではなく中期間だけでも仮歯を入れて
>経過観察し、特に異常がでなければ対合歯を削らずに済む場合もあるという
>積極的保存的考えも先生によってはあります。
実は、お恥ずかしい話ですが、治療した歯は、硬いものを噛んで破折したものを仕事の都合などで治療せずにいたものです。今回の通院のきっかけも、右第1小臼歯が、根尖病巣による急性症状を起こして、激しい痛みを憶えたことによるものでした。左側は、カリエスにはなっていませんでしたが、かなり大きく割れていた為に、抜髄せざるを得ませんでした。 ただ、他の患者さんで上記の様な指摘を受けられている方がいらっしゃいましたが、私は今までそういった指摘は受けていないので、対合歯の挺出というのはないと思います。でも、念のため確認いたします。

> > 2)全体の噛み合わせに影響がでる様な危険のある高さの違いであるなら、 >    勿論仕方がないのですが
> ●それがすぐ不可逆的結果、つまり全身的な事も含めて何か異常が出てしまった場合に歯を削った
>  のでは遅いのか?影響はすぐ出る可能性があるのか?などよく主治医と話し合ってみてください。
分かりました。ちょっと混乱していたのですが、ご指摘で論点が整理されたように思います。有り難うございます。上記の内容をお聞きしてみます。

> > >それとも、咬合に問題がでるほどであれば担当医が肉眼等で判定できるのでしょうか?
> ●肉眼的に確認できる場合と出来ない場合があります。
> 例えば、奥歯の高さの異常は犬歯などの対合歯との1点の小さな接触の有無の変化、位置の変化 > などで肉眼的に確認出きる場合もあります。
> ただし、調整はできません。
調整できないとのことですが、この場合の処置はどうなるのでしょうか?

> > 3)上記の事情を考慮して(インレーの分だけ高くなると思うので)、隣の歯の治療が終わってから高さを判断した方がよいのでしょうか? > ●その前に、すでに高さの異常があるとすれば、後に作るものはやはり高さのあわないものに >  なる場合がありますね。
そうですか。やはりインレーのことはおいておいて、調整していただくかどうか決めるべきなのですね。よく考えてみれば、右側の高さは現状で問題がないので、もし左に合わせれば右が低くなってしまいすよね。

> > 4)次に治療するのは、エナメル質が取れた前歯でこれは一回で治療が終了するそうですが、その後かけた第1大臼歯、その下の第1大臼歯のインレーという順で治療する予定ですが、その部分の治療を終えるのに数ヶ月くらいはかかると思いますが、その間高さの調節をしなくても問題はないでしょうか?問題がなければ、取り敢えず、コメントは留保したいのです。

> ●何故インレーはあとまわしなのかなあ?
>  先にやる場合のメリット・ディメリット
>  後にする場合のメリット・ディメリットを聞いてみてください。
>  明確な回答がなければ明確な理由がなく、そういう診療計画をその歯医者さんが
>  やっていたかもしれません。
これは、担当医も迷っていた点です。私が、前歯が虫歯になるのではと心配しているので、そちらを優先しましょうということになりました。私が、無茶なお願いをしているのかもしれません。上の第1大臼歯のは、最初にご覧になったときは虫歯になっているということで、抜髄になるかもしれないということでしたが、次には虫歯ではなく以前詰めたもの(アマルガム)が縮んでいるので、別の物に替えることは出来ますということでした。所見が1度目と2度目で一致していないので、この歯については今のところよく分かりません。時々、しみる感じがありますが、打診痛やエアーを当てての痛みはありません。治療の優先順位については、もう一度ご相談してみます。

> 冠を被せた後で調整される予定なのですから、その先生は装着する前に
> その冠の厚みとかは当然、事前に計測されているのでしょうね?
> 絶対確認されることを強くすすめます。
> 分らないという答えは通用しません。
> 十分あるという答えがきたばあいでも、それは何ミリでしょうか?ときいてください。
> 何ミリかわからないのに十分あるといえる根拠にはならないからです。
> もっとも、その先生は厚み○○以下の冠は再製を必ずするというポリシーがあるのなら
> 上記のような不安には及びません。
クラウンの厚みというのは、セラミック部分のことでしょうか?義歯の方を削るにしても、もし担当医がプッコチさんご指摘の点について把握していらっしゃるのかは、大変大事なことであると思います。是非、確認いたしたいと思います。再生するというのは、一端つけた物をはずすということでしょうか?白金加金のクラウンは経験があるのですが、MBは初めてのことで、疑問はつきません。

(99/01/01)

A158
Re: 噛み合わせの調整について教えて下さい。 プッコチ先生

> 調整できないとのことですが、この場合の処置はどうなるのでしょうか?
●調整は肉眼ではなく最終的には専用の機器や器具やTOOLなどを使用します。  原則的には治療前に削る前の模型があるといいのですが。

> クラウンの厚みというのは、セラミック部分のことでしょうか? 義歯の方を削るにしても、もし担当医がプッコチさんご指摘の点について把握していらっしゃるのかは、大変大事なことであると思います。 是非、確認いたしたいと思います。再生するというのは、一端つけた物をはずすということでしょうか?白金加金のクラウンは経験があるのですが、MBは初めてのことで、疑問はつきません。
●両方です。  もし、噛む面にもセラミックが使用されているのならば、破折などのリスクを背負いますので  (その場合、そのようなリスクが必ず説明受けているとは思いますが)  製作前に相当にシビアな製作要求が歯科医師・歯科技工士双方に求められますので、  調整誤差を含めた範囲が把握されているはずだと思います。  勿論、100%ととはいいませんが、そうではない場合はそうでなくなった  理由が存在するはずです。

(99/01/01)

Q159
Re: 噛み合わせの調整について教えて下さい。 Rさん

> ●調整は肉眼ではなく最終的には専用の機器や器具やTOOLなどを使用します。
>  原則的には治療前に削る前の模型があるといいのですが。
そのような器具があること自体存じませんでした。専門的領域のようですので、教えていただいた事実を記憶し、この様なケースに至った場合の参考にさせていただきたいと思います。

噛む面だけでなく縁下部分以外はセラミックが吹き付けてあります。破折のリスクについては、殆どないとの説明でした。100%セラミックと比較するとかなり頑丈であるとのことでした。製作に関しては、印象採得にかなり困難を極めたこともあり、高い方の歯は少し気泡が入ったそうです。セメント装着前に試摘してみて、高いと感じたのか担当医が既に少し削っていました。どこを削られていたのかは見えませんでした。担当医が、装着後、左のバイトが取れないと気にされていましたので、それで経過を見たいと言うことではないかと感じました。調整誤差については、調整可能ですと言われていましたので、把握されているのでしょう。そうであると良いと思います。

(99/01/02)


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